過去の申告書等の控えを無くしてしまった場合の対処法ー申告書等閲覧サービスー


独立開業して2回目の確定申告でしたが、令和2年分の確定申告も何とか無事に終えることができました。
本年もコロナ禍の中、去年同様申告期限が延長されました。
令和2年分の申告期限は4月15日となり、さらに新型コロナウイルス感染症の影響によりやむを得ない理由がある場合には、納税地の所轄税務署長に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出することにより、その理由がやんだ日から2か月以内の範囲で個別指定による延長も認められています。


皆様の中で、税務署へ提出した過去の申告書・届出書・申請書の控えを無くしてしまい本年の申告書の作成が出来ない!ということはありませんでしょうか?
本年の確定申告書を作成するのに過去の申告書等が必要になることなんてあるの?っと思われる方もおられるかと思いますが、確定申告書を作成する場合には過去の申告書等の内容は非常に重要となってきます。


例えば、その納税者の方が、青色申告なのか? 修正申告書を出しているのか? 消費税の課税事業者なのか? 消費税の計算法方は原則課税?簡易課税? 純損失や欠損金は? 相続税の税額は出ていたのか?等ここに記載したものはほんの一部ですが、上記の内容がわからないと本年の確定申告書が作成できない場合がございます。
これは、所得税、法人税、消費税、相続税、どの税目にも共通するものです。


その場合には、納税地の税務署で申告書等閲覧サービスを利用して、税務署へ提出した過去の申告書等を閲覧することができるサービスがございます。
ただし、このサービスはコピーはできず、写真で撮影するか、書き写すかのどちらかになります。
写真撮影も制限があり、税務署の収受印部分や上部の申告年・納税者名・住所等の部分は隠しての撮影となり、撮影後に税務署職員の写真の確認がございます。


このサービスを利用するには、納税地の所轄税務署へ申告書等閲覧申請書に必要事項を記入し身分証明書(運転免許証等)を提示する必要がございます。
税務署の窓口でこのサービスを利用したい旨を伝えれば申告書等閲覧申請書がもらえますので、申請書に閲覧したい年分の申告書等の名前を記入し窓口へ提出します。
古い申告書等の場合には時間がかかる場合もございます。


また、代理人(税理士等)がこのサービスを利用するには、下記の書類が必要となります。
代理人の区分によって必要書類が異なりますので必ず税務署へご確認ください。

  • 代理人本人であることを確認する書類(運転免許証等)
  • 委任状(納税者本人の実印が押印されたもの)
  • 印鑑登録証明書又は署名証明書(申請日前30日以内に発行されたもの)
  • 税理士証票等


2019年9月より写真撮影が認められるようになりましたが、その前は全て自力で書き写す必要がありました。
私も過去に何度かこのサービスを利用したことがありますが、複数の書類を閲覧し書き写すのは時間もかかりますし大変な作業となりました。
しかも、個人の方の確定申告でこのサービスを利用する場合、税務署が大変混雑する時期になります。
書き写している間、税務署職員の方が必ず立ち会いますので、確定申告時期には大変心苦しくなりました。


大変便利なサービスですが、現在コロナ禍でもありますので、できればこのサービスを使うことが無いように、提出した申告書等の控えは必ず保存するようにしましょう。
申告が終わったら、ファイルに申告書等の控えをファイリングする癖をつけておけば無くすことは防げると思います。


このサービスを利用する場合には必ず納税地の所轄税務署へ必要書類を確認してから利用するようにしてください。
また、興味本位での閲覧サービスの利用はお控えいただくようお願いいたします。




この記事は、投稿日現在における法令等に基づいて作成しております。