法人が本店移転を行った場合の各種届出

皆さん引っ越しの経験はござますでしょうか? 
1度くらいはあるという方が多いのではないでしょうか。
私もこれまでに何度か引っ越しをしておりますが、その度に役所、金融機関、電気ガス水道会社等に手続きを行う必要があります。
そのため引っ越し後の生活が落ち着くまでには相当の労力と期間が必要となります。


では、法人(会社)の本店が引っ越しをした場合にはどうなるのでしょうか?
個人の引っ越しのように法人の本店が変わった場合にも当然役所への手続きが必要となってきます。
今回は、法人の本店移転があった場合の登記後に必要な手続きを税務関係を中心に書かせていただきます。

本店移転とは?

法人にも個人と同じように住所があります。
法人を設立するときに本店所在地を法務局や税務署等へ届け出ることになります。
そうしないと、法人登記や税金をどこへ納めればいいのか定まらないからです。
人間でいう住民票と同じような感覚です。
個人が引っ越しをするように、法人も諸事情により最初に決めた本店所在地から引っ越しすることは多々あります。
そのひとつの理由として、新たに法人設立や個人事業主から法人成りした場合、軌道になるまでは自宅を事務所として本店所在地とすることが多くあります。
その後、事業が順調にいき、資金繰りにも余裕が出てきた頃に事務所を新たに借り、そこを本店にする場合です。

届け出先と各種届出書

税務署へ提出するもの

・異動届出書
 移転前の税務署へ提出、原則添付資料なし
 速やかに提出

・給与支払事務所等の移転届出書
 移転前の税務署へ提出、原則添付資料なし
 移転日から1月以内に提出

県税事務所へ提出するもの(県内での移転の場合)

・異動届出書
 移転前の県税事務所へ提出、登記事項証明書を添付(定款変更があった場合には定款も)
 条例で定める期間に提出(神奈川県は移転日から1月以内)

市町村へ提出するもの(市内で移転の場合)

・異動届出書
 移転前の市町村へ提出、登記事項証明書を添付(定款変更があった場合には定款も)
 市町村で定める期限(横浜市は移転以後30日以内)

年金事務所へ提出するもの

・健康保険・厚生年金保険 適用事業所 所在地 変更届
 移転前の年金事務所へ提出、登記事項証明書を添付(一定の場合にはその他の書類)
 移転のあった日から5日以内

その他

・労働保険名称・所在地等変更届
・雇用保険事業主事業所各種変更届
 労働基準監督署、公共職業安定所に10日以内に提出

まとめ

法人の引っ越しも、個人の引っ越し同様手続きがかなり煩雑となりますので、法人の本店を決める際は将来的なことも考慮してお決めになるほうがよろしいかと思います。
また、移転する時期によっては申告に影響する場合もございますので、移転する際はよくお調べになってからなさるようにして下さい。
本店移転をされる際は届け出期限が短いものもございますので、ギリギリで慌てることがないように手続きは余裕をもって進めましょう。



この記事は、投稿日現在における法令等に基づいて作成しております。